ジムで「ベルト買った方がいいですか?」と聞かれることがあります。腰の安定や腹圧の補助に使われるトレーニングベルト(リフティングベルト)は、本格的に重さを扱う方には便利な道具です。ただし、初心者が早く頼り始めると、本来鍛えるべき体幹が育ちにくくなる側面もあります。今日は、私が10年使ってきた経験と、現場で会員様にお伝えしている判断軸から、ベルトを使うべき重量とタイミング、そして頼りすぎない使い方を整理します。
ベルトの役割 — 何を助けて、何を助けないのか
最初に、トレーニングベルトが何を担っているかを整理します。ベルトは腹腔内圧(お腹の中の圧)を高める補助具で、腰椎周りの安定性を上げる役割があります。スクワットやデッドリフトといった高重量を扱う種目で、腰の負担を減らし、重さを支えやすくしてくれる道具です。
ただし、ベルトは魔法ではありません。腰の安定そのものを生み出すのは、ご自身の腹筋・背筋を含む体幹の筋肉です。ベルトはそれを補助するだけで、ベルトを巻いたから腹圧が自動で入るわけではない、というのが大切な前提です。さらに、関節を守るギアの誤解については関節を守るためにリストラップは必要か?もご参考までに(手首側の話ですが考え方は共通です)。
使うべき重量の目安 — 体重の1.5〜2倍がひとつのライン
ベルトを使い始める重量の目安は、現場で「体重の1.5〜2倍」を一つのラインとしてお伝えしています。具体的には、体重60kgの方ならスクワットやデッドリフトで90〜120kg、体重70kgの方なら105〜140kg、というあたりです。
これより軽い重量では、ベルトに頼らず体幹で支える方が、長期的に腹圧を入れる感覚が育ちます。早すぎる段階でベルトに頼ると、ベルトなしの時に腹圧が抜けてしまい、結果として体幹の発達が遅れる傾向があります。「3ヶ月目で買いました」より「1年目で買いました」の方が、体作りの観点では強い、というのが私の見方です。
もちろん、腰の既往歴がある方や、医師から「腰部の保護が必要」と言われている方は、もっと早い段階でベルトを使う判断もあります。これは個別判断なので、トレーナーや医師と相談して決めるのが安全です。
タイミングの目安 — どのセットで巻くか
重量の判断と並んで大切なのが、セット内でのベルトの使い方です。
私が現場で勧めているのは、ウォームアップとアップセットはベルトなしで行い、最後の1〜2本のメインセットだけベルトを巻くというパターンです。これにより、軽い重量の時に腹圧を入れる感覚を毎セッション維持しつつ、高重量で必要な時だけベルトの補助を借りられます。
最初からずっとベルトを巻きっぱなしにすると、軽い重量でも腹圧が抜けやすくなり、ベルトなしの動作が弱くなります。日常生活では当然ベルトを巻きませんから、ベルトなしの体幹が弱くなるのは避けたいところです。フォームの精度を上げる重要性は筋トレは重量よりフォームで詳しく書いています。
ベルトに頼りすぎないための3つの考え方
最後に、ベルトを使い始めた方が頼りすぎないための、3つの考え方を共有します。
ひとつ目は、ベルトなしのセットを必ず残すこと。週に1回は、メインセットもベルトなしで行う日を作る。少し重量は落ちますが、体幹の感覚を維持するために大切です。
ふたつ目は、ベルトに息を吐き付ける感覚を覚えること。ベルトは「巻けば腹圧が入る」のではなく、ベルトに対してお腹で押し返す感覚で初めて機能します。最初は鏡や動画でこの感覚を確認します。
3つ目は、補助種目(コア種目・体幹種目)を週1〜2回続けること。プランク・デッドバグ・パロフプレスといった種目で、ベルトなしでの体幹安定を維持します。BIG3との組み合わせ方はBIG3の順番ガイドもご参考までに。
Re:Glowで会員様にお伝えしているベルトの考え方
私たちのジムで「ベルトは早めに買った方がいいですか?」と聞かれた時、最初にお伝えするのは「まずは半年は要らないですよ」ということです。半年〜1年は体幹を育てる期間と捉え、ベルトなしでの腹圧感覚を作る方を優先しています。
その期間を経て、スクワットやデッドリフトが体重の1.5〜2倍に近づいてきたら、初めてベルトの検討をご一緒に話します。最初の1本は革製の硬めのベルトより、ナイロン製のソフトなベルトでも十分な方が多いです。慣れてきて、もっとサポートが欲しくなれば革製に切り替える、という段階を踏むのが現実的です。
ベルトは便利な道具ですが、道具に頼って体幹が育たないままだと、長期的には伸び悩みます。「いつから使うか」の判断は、ご自身の重量と目的によって違うので、初回の体験時にもよくご質問いただきます。
まとめ — ベルトは「育った後の補助具」
トレーニングベルトは、体幹がある程度育ってから補助的に使う道具です。早く頼りすぎると本来の体幹発達を遅らせ、ベルトなしの動作が弱くなります。体重の1.5〜2倍に近づいてから、メインセットだけ巻く使い方が現実的です。「自分の重量で必要かどうか分からない」「使い方を直接教えてほしい」という方は、無料カウンセリング&無料体験でフォームと一緒にご相談できます。










