ボディメイク・筋力アップ

筋トレ前の静的ストレッチは、実はマイナスかもしれません — 10年の現場から伝える、正しいウォームアップ

「ストレッチしてから筋トレしないと、ケガをする」。子供の頃の体育の授業から、多くの方がそう教わってきました。

でも実は、筋トレ直前に静的ストレッチ(じっと止まって伸ばすタイプ)をすると、かえってパフォーマンスが落ちることが、近年の研究で分かってきています。

筋トレの世界では、この10〜15年で「ウォームアップの常識」が大きく変わりました。静的ストレッチは筋トレ後・柔軟性向上・就寝前のリラックスには今も有効ですが、筋トレ直前という場面に限っては向いていないというのが、現在の見解です。

今回は、なぜ筋トレ前の静的ストレッチが不向きなのか、代わりに何をすればいいのかを、10年実践してきた私の経験と合わせて正直にお話しします。

「ストレッチ=ウォームアップ」は、大きな誤解

まずお伝えしたいのは、「ストレッチ」と「ウォームアップ」は本来別物ということです。

ウォームアップの目的は、心拍数を上げ、体温を上げ、関節を動かし、筋肉と神経系を「これから動きますよ」と目覚めさせることです。一方、静的ストレッチの目的は、筋肉や腱を一定時間伸ばして可動域を広げたり、緊張を緩めたりすることです。

伸ばして緩めることと、動くために準備することは、似ているようで目的が違います。体温を上げていない状態でじっと止まって伸ばしても、心拍数は上がらず、神経系も眠ったままです。筋トレ直前には、むしろ「動いて温める」作業の方が必要なのです。

静的ストレッチ自体には確かに価値があります。柔軟性を上げたい時、運動後のクールダウン、就寝前のリラックス。これらの場面では引き続きおすすめです。ただし、筋トレ直前というタイミングだけは目的が合わないということをお伝えしたいのです。

保戸塚 康裕
執筆 Re:Glow代表 保戸塚 康裕

NSCA認定パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)。大手パーソナルジム勤務を経て独立し、Re:Glow パーソナルジムを設立。延べ3,000件以上のセッション実績を持ち、初心者から競技者まで幅広い層の指導を行う。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療上の助言を意図するものではありません。

静的ストレッチが筋トレ前に起こす、3つのマイナス

もう少し具体的に、筋トレ直前の静的ストレッチが起こすマイナスを3つお話しします。

1つ目は、筋出力の低下です。複数の研究で、60秒以上の静的ストレッチ直後は、最大筋力が10〜15%程度低下する傾向が報告されています。重いウェイトを扱う筋トレにおいて、この低下は無視できません。せっかく同じ時間トレーニングしても、効果が薄くなる可能性があります。 2つ目は、反応速度とスピードの鈍化です。静的に伸ばされた筋肉は、収縮する速度が一時的に遅くなる傾向があります。爆発的な動きが必要な種目(ジャンプ、スプリント、オリンピックリフティングなど)では特に影響が出やすいことが知られています。 3つ目は、関節周辺の安定性の低下です。筋肉が過度に緩むと、関節を支える張力が一時的に弱まり、フォームが崩れやすくなります。「柔軟性=ケガ予防」は、筋トレ直前に関しては必ずしも当てはまらないというのが、近年の理解です。むしろ動的に動かして神経系を目覚めさせた方が、ケガを防げる可能性があります。

筋トレ後のクールダウンや筋肉痛についてはパーソナルジムで筋肉痛は必要?効果との関係とセッション後24時間の過ごし方も参考になさってください。

じゃあ何をすればいい?ダイナミックウォームアップの考え方

ここからが実践の話です。筋トレ前は「止まって伸ばす」から「動いて温める」へ切り替えるのが、現代の考え方です。

ダイナミックウォームアップ(動的ウォームアップ)の目的は3つあります。

1つ目は、体温と心拍数を上げること。軽く動くことで、体が「これから運動するぞ」というモードに入ります。 2つ目は、関節の可動域を動きながら広げること。腕や脚を大きく振る動作で、筋肉と関節が動きに馴染んでいきます。 3つ目は、神経系を目覚めさせること。これから使う筋肉に「そろそろ出番だよ」と合図を送るイメージで、軽い負荷の動きを入れていきます。

静的ストレッチが「緩める」だとすれば、ダイナミックウォームアップは「起こす」作業です。筋トレでベストな出力を出すには、後者の方が目的に合っています。

次の一歩

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5分でできる、筋トレ前のウォームアップ3ステップ

私が自分自身の筋トレでも、お客様にもおすすめしている5分でできるダイナミックウォームアップを紹介します。

Step 1: 全身を温める(2分)
  • その場ジョギング、または軽いジャンピングジャックを60〜90秒
  • 肩回し・体幹の左右回旋を各30秒ずつ
  • 目的は心拍数を少し上げ、体がうっすら汗ばむ程度に温めること
Step 2: 動的ストレッチ(2分)
  • レッグスイング(脚を前後に10回ずつ、左右交互)
  • アームサークル(腕を前後に大きく10回ずつ)
  • ヒップオープナー(股関節を大きく開閉10回)
  • 動きながら可動域を広げるのが目的です
Step 3: 軽負荷で本番の動きを予習(1分)
  • ベンチプレスをやる日 → 腕立て伏せ10回
  • スクワットをやる日 → 自重スクワット15回
  • デッドリフトをやる日 → ヒップヒンジ10回
  • 本番の種目に近い動きを、軽い負荷で神経系に予告しておく

この3ステップで、神経系が起きて、関節が動いて、体温が上がった状態が完成します。ここから本番の高重量トレーニングに入ると、力が出やすく、フォームも安定します。体幹を正しく使う基本はパーソナルジムで体幹トレーニングをする効果とは?もあわせてご覧ください。

まとめ — 筋トレ前は「緩める」ではなく「起こす」

「筋トレ前は静的ストレッチをしない」。これが、10年以上現場を見てきた私の実践的な結論です。

静的ストレッチ自体に罪はありません。運動後・柔軟性向上・就寝前のリラックスには、今も変わらず有効です。ただ筋トレ直前という場面に限っては、筋出力を下げる・反応速度を鈍らせる・関節の安定性を下げるというマイナスが研究でも示されています。

代わりに、5分のダイナミックウォームアップを入れる。たったこれだけで、トレーニングの質が一段上がる可能性があります。明日の筋トレから、少しだけ順番を入れ替えてみていただけたら嬉しいです。

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